※この記事は2020年5月3日に更新したものを編集し再度投稿しています。

発達障害(ASD+ADHD)と
診断されているネスケです

妻のネス美です
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発達障害(ASDとADHD)の診断を受けている旦那・ネスケとの生活の中で、わたしがいつも感じるのが「コミュニケーションの難しさ」です。
会話自体は普通にできるのですが、話している途中で「え?どうしてそうなるの?」と思うような受け取り方をされることがあります。
そのたびに、わたしは「ネスケには特殊な変換機能がついているのかも…」と感じるのです。
わたしの伝えた言葉が、ネスケの中でまったく違う意味に変換されてしまう。
たとえば、こちらは何気なく伝えたつもりなのに、ネスケはまるで責められたように受け取って落ち込んでしまうことも。
こうした「言葉の受け取り方の違い」は、ASD(自閉スペクトラム症)の特性による部分が大きいと言われています。
さらに、認知のゆがみ――つまり『物事を偏って捉えてしまう傾向』も関係しているかもしれません。
今回は、そんなネスケの「言葉の捉え方」について、わたしが日々感じていることをお話ししたいと思います。
同じように「夫との会話がかみ合わない」「伝え方が難しい」と感じている方の参考になれば嬉しいです。
発達障害の旦那が喧嘩になる「間違った捉え方」をする理由
旦那・ネスケの言葉の捉え方は、基本的にネガティブ寄りです。
普段の会話でもそうなのですが、特に喧嘩のときは、そのネガティブな捉え方が一気に強く出てしまいます。
この「言葉の受け取り方の違い」こそが、私たち夫婦のコミュニケーションを難しくしている大きな原因のひとつです。
コミュニケーションが難しいと感じる場面
たとえば、ネスケとの会話ではこんなことがよく起こります。
どれも些細なようで、積み重なるとすごくストレスになります。
わたしも「そんなつもりじゃないのに…」と感じる場面が多く、誤解から喧嘩に発展することもしばしばです。
原因は「ASD」「ADHD」+「認知のゆがみ」
ネスケの場合、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)の特性に加え、「認知のゆがみ」が関係しているように感じます。
発達障害の特性を持つ人は、物事を偏って捉えてしまう傾向があり、瞬間的にネガティブに感じてしまうことが多いのです。
そのため、わたしが何気なく言った一言が、ネスケの中では「怒られた」「否定された」と変換されてしまうことがあります。
わたしは全くそんなつもりがないのに、ネスケの中では自分で感じたことが(ネガティブに捉えたことが)本当だと思い込んでしまう…。
これが、夫婦間の誤解やすれ違いを生む原因になっているのだと思います。
思わぬ誤解を生む「ネスケの特殊変換機能」

ネスケの言葉の受け取り方は、ちょっと独特です。
一言でいえば、基本ネガティブ変換タイプ。
私の何気ない発言が、ネスケの頭の中で
「まったく別の意味」に変わって伝わってしまうことがよくあります。
そんな“ネスケ特殊変換機能”をわかりやすくするために、
下の漫画を描いてみました。
漫画で見る「ネスケ特殊変換機能」発動の瞬間

わたし:「子どもはいいよな〜」
↓
ネスケの変換:「そんなに実家に帰りたいのかっ!」
……いや、そうじゃない(笑)
まさかの方向に解釈が飛ぶので、最初は驚きました。
でも本人の中ではちゃんと“つながって”いるらしく、
ネスケの頭の中ではしっかりした理由があるようなんです。
「どうしてそんな受け取り方になるの?」
このような変換の背景には、ASDの認知の特性や思考のこだわりが関係しているようです。
たとえば、
などが挙げられます。
つまり、本人は決して悪気があるわけではなく、
「自分の中で筋が通っている捉え方」をしているのです。
ネスケの捉え方あるあるを紹介。
こうした“すれ違いパターン”が続くと、喧嘩の原因にもなります。
でも、背景を理解しておくと、以前より冷静に対応できるようになります。
フラッシュバックする時もある
ネスケは過去の出来事を思い出して、突然怒り出すことがあります。
嫌な記憶を「思い出す」というより、その瞬間に戻ったかのように再体験しているのです。まるで過去の映像が動画のように再生される――そんな感覚です。
この状態は「フラッシュバック」とも似ていますが、ネスケの場合はより強く“その時”を感じているように見えます。
調べていくうちに、これは「タイムスリップ現象」と呼ばれるものに近いと感じました。
一部の発達障害の方は、印象に残った出来事を鮮明なまま長期間記憶していることがあるそうです。
時間が経っても記憶が風化せず、当時の映像や感情がそのまま再生される――それがタイムスリップ現象と呼ばれています。
これは妄想や幻覚とは異なり、本人の中では「今まさに起きている」出来事のようにリアルに再現されるのが特徴です。
フラッシュバックが感情や痛覚など「感覚的な再現」に近いのに対し、タイムスリップ現象は「時間の再現」に近いとも言えます。
実際、ネスケが突然怒り出すとき、私は「何に対して怒っているの?」と戸惑うことがあります。
よくよく聞いてみると、その怒りの理由が一年前の喧嘩の内容だった、ということも珍しくありません。

「お前が今言っただろ!」と怒鳴られても、実際にはそんなことは言っていない。
でもネスケの中では、その記憶がまさに“今”起きているのです。
こういうときは何を言っても火に油を注ぐだけなので、私はただ落ち着くのを待ちます。
「そうだね」と肯定してしまうと「今、認めたな!」とさらに混乱するため、
否定も肯定もせず、時間を置いてから「それは一年前のことだよ」と伝えるようにしています。
状況に応じて対応するのが苦手
ネスケは「状況に合わせて受け取り方を変える」のが少し苦手です。
私が夕飯の準備をしている時に話しかけられると、つい短く答えてしまう。
「それいらないよ、回りくどい」と言うと、ネスケは「怒ってる」「冷たい」と受け取る。
普段なら丁寧に話せても、忙しい時はつい要点だけになっちゃうんですよね。
でもネスケは言葉をそのまま受け取るタイプ。
トーンや状況より“言葉そのもの”が強く印象に残るみたいです。
言葉へのこだわり
ネスケには「言葉のこだわり」もあります。
付け足したい一文に強くこだわって、全体の意味よりも“その一文”を優先することも。
たとえそれで文章が伝わりづらくなっても、「これを入れたい!」と譲りません。
(この頑固さが、後の喧嘩を呼ぶんです…)
私が「やる前に聞いてね?」と言うと、ネスケは素直に聞いてきます。
でも答えると「否定された!」と怒る。
それで私が「じゃあ聞かないで」と言うと「どっちなんだ!」とまた怒る。
…はい、ループです。
ネスケはその場のやり取りだけを切り取って反応してしまうので、
前後の流れが飛んでしまうんです。
一度引っかかると、最後は必ずこうなります。
「言った」
「言ってない」
「いや、言った!」
はい、無限ループ。
本題は消え、言葉の一点だけが残る。
私は「もう何の話してたっけ?」とぐったり。
でもネスケにとっては、“その一言”がすべてなんです。
相手の発言をネガティブに受け取る

ネスケは、人の発言をすぐに「自分への否定」として受け取ってしまうことがあります。
たとえば、会社で同僚から「こうした方がいいんじゃない?」と言われても、ネスケの中では「俺の意見を否定された」と変換されてしまうのです。
ネガティブ変換の仕組み
ネスケ自身も、「自分に自信がないから、余計に否定されたように感じるのかもしれない」と話していました。
確かに、他の人から見れば『頑固』とか『わがまま』に見える場面もあるかもしれません。
実際、ネスケ母も「ネスケは自己中で子供っぽい」と言うことがあります。
一度「否定された」と感じてしまうと、その印象はなかなか消えません。
私が「違うよ、意見を言っただけ」と説明しても、
ネスケの中では「俺を否定した」という感情が強く残り、こちらの言葉が頭に入らなくなってしまいます。
寝るとリセットされるタイプ
ただ、ネスケの場合は寝ると落ち着くタイプ。
一晩寝ることで冷静さを取り戻し、「昨日はごめん、どういう意味かわかった」と言ってくれることも多いです。
感情が一度リセットされると、理解力も戻るようです。
メルトダウンを起こすことも
ネスケは時々、いわゆるメルトダウン(感情の爆発)を起こします。
これはASD(自閉症スペクトラム)の特性のひとつで、精神的に追い詰められた時に起こる『強い怒り』として現れます。
壁を殴ったり、物を投げたり、頭を打ちつけたり……。(人により違います。)
最近では、私はその様子を見たら静かに別の部屋へ避難します。
嵐が過ぎるのを待つのがいちばん安全だからです。
発達障害の旦那にどう伝えたらいい?私が意識していること

ネスケに何かを伝えた時、「え?なんでそうなったの!?」ということがよくあります。
わたしが言った言葉が、ネスケの中でまったく違う意味に変換されて伝わってしまうんです。
「青」と言ったのに、ネスケの中では「白」と変換されているような感じ。
わたしはそれを、勝手に「ネスケ特殊変換能力」と呼んでいます。
そんなネスケに「ちゃんと伝わるように」するにはどうすればいいか?
わたしが普段意識していることをまとめてみました。
私が意識している伝え方のコツ
大事なことをネスケに伝えるときに意識していることは、いくつかあります。
まず最初に『わたしに余裕があるとき』というのが前提です。
何かを説明するときなども、時間も気持ちも体力も余裕があるときに伝えるようにしています。
次にわたしがしている伝え方を紹介します。
- 一言添える
ただ「うるさい」とだけ言うと、ネスケは『怒られている』や『攻撃された』と受け取ることがあります。そこで「頭が痛いから音量を下げて」や「イヤホンをしてくれると助かる」など、具体的に伝えると、すぐに「わかった」と反応してくれます。 - 理由を添えて具体的に
「ここをこうしたら?」だけでは、「なんでだよ!」と反発されることも。
でも、「ここをこうしたら、もっと〇〇に見えると思うよ」と理由を加えると、素直に受け入れてくれることも多い。 - 感情を説明する
「悲しい」「ムカついた」と感情だけを伝えるよりも、「〇〇されると、私がこう感じてしまう」と具体的に話すと伝わりやすいです。
①『一言添える』は、何かを伝えるときの最初に添えることが多いです。「今から言うことは、ネスケを責めるつもりも否定することでもないからね?」など
③『感情を説明する』は、今でも難しいです。「〇〇されるとわたしは悲しい気持ちになる」と伝えても「〇〇されて何でネス美は悲しくなるの?俺は悲しくならないよ?」なんていうこともありました。が、今は「俺は悲しくならないけど、ネス美は悲しくなるんだね」と変わりました。言い続けることは大事なのかも。
ASD特性ゆえの「状況の読み取りの難しさ」

「火を見てて」と頼んでも、ネスケは『吹きこぼれないように見る』とは思いつかないことがあります。
ASD特性の一つに、「状況を読む」「背景を推測する」ということが苦手、というのがあります。
だから、「火がついてるから、沸騰したら弱火にしてね」など、行動を具体的に伝えるようにしています。
この「火を見ててね」的な話しをする度に、わたしの父と祖母の話を思い出します。
父「バックで駐車するから、車から降りて後ろを見ててくれ」
祖母「はいよ」
ドンッ‼
父「見ていてくれって言っただろ!」
祖母「見てたよ?ぶつかっちゃったじゃない。気をつけなきゃ。」
確かに祖母は見ていました。(見てただけ)
ネスケ『マイルール』の壁
ネスケの中には『マイルール』があります。
自分のやり方を優先させてしまう。これは、ASDの特性でもある「こだわり」や「変化への不安」が関係しています。
新しい環境や予定変更など、他の人から見れば些細なことでも、ネスケにとっては大きなストレスへと繋がります。(本人は、ストレスという言い方ではなく『気持ちが悪い』と言います)
不安からパニックを起こすこともあります。
変化を避けることで安心を保っているとも感じます。
ネスケの受け取り方(捉え方)は少し独特。
それを理解したうえで工夫すれば、伝わることが多くなっていくし、こちらの気持ちも楽になります。
そして、こうして書いているうちに、昨日ムカついていた気持ちも少し落ち着きました。
今まで何回も小さなことから大きなすれ違いがありました。
それでも、伝えることを諦めず、ネスケも理解することを諦めず、今ではすれ違いもかなり減りました。
努力をするネスケだから、わたしも伝えることを諦めずにいられたのだと思います。

